2009年08月27日

『神の守り人(来訪編・帰還編)』

とりあえず、IMEに戻して、テストを兼ねて、昨日、消えちゃったエントリーを書き直してみます。


神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)
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上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズ、全10作の5作目と6作目になる『神の守り人 来訪編』と『神の守り人 帰還編』が文庫化。

待っていたんだよぉ〜!(感涙)

いわゆる、ファンタジー小説だけど、『ハリポタ』よりも『ナルニア国』よりも、ずっとおもしろい。

世界観が完全に架空なんだけれど、すごく良くできている。
雰囲気としては古代から中世の中央アジアって感じ。
国も民族も宗教も風習も全部架空。

物語の主な主人公は、女用心棒のバルサ、齢30歳(第1作の『精霊の守り人』の冒頭)。
ファンタジー小説というと、普通10代の少年・少女が主人公だけれど、言うなれば「おばさん」が主人公。
でも、このおばさんが魅力的。

で、このおばさん、短槍の達人で、めっぽう強いけれど、魔法も呪文も色仕掛けも使えない(最後は余計なお世話)。
たいがい、異世界が見えちゃって困っている子どもに出会い、その子を助ける羽目になる。
子どもにしてみれば、異世界が見えるために命を狙われているので、困ったところの話じゃないんだけれど。
バルサ自身は呪文は使えないけれど、呪術師の幼なじみが登場して、こっちの世界とあっちの世界の事情が明らかになっていく。

命を狙われる理由は、たんに「不吉な者」「呪われし者」というだけじゃない。
架空の宗教の伝承や教え、民族間の諍い、国家間の政治的な思惑が絡んでいるのだ。

「名前を呼んではいけないあの人」のような絶対的な悪も、「ナルニアの創造主アスラン」のような絶対的な善も登場しない。
どこにでもいそうな人間たちが、「信頼」や「裏切り」の中でドラマを繰り広げる。

シリーズ1作の『精霊の守り人』は、表現に少々“かったるさ”を感じていたのだけれど、物語のおもしろさがそれに勝った。

2作目『闇の守り人』は政治的な泥臭さが盛り込まれていて秀逸。
この作品で完膚無きまでにたたきのめされた(笑)。

3作目『夢の守り人』は異世界に走りすぎて、ちょっと不満。

4作目『虚空の旅人』、これにはバルサは出てこず、『精霊の守り人』でバルサが助けた少年チャグムが主人公。
これも異世界と外交問題まで発展した政治的な泥臭さのバランスが絶妙。

5作目、6作目となる今回の『神の守り人(来訪編・帰還編)』も異世界と民族対立や政治といった現実とが複雑に絡み合うなか、いい意味で作者に裏切られてハラハラしっぱなし。

細かいストーリーは書きません。
ぜひ、手にとってみてください。


…、と、ウインドウが閉じることなく、書き終えました(ホッ!)。



posted by けーぜ at 00:00 | Comment(4) | TrackBack(0) | 本・雑誌
この記事へのコメント
『精霊の守り人』は、アニメでちらっと見たよ。おもしろそうじゃん。『精霊の守り人』が図書館にあったから予約しちゃった。
Posted by meka at 2009年08月27日 09:59
>mekaさん

mekaさんは読書通だから、お眼鏡にかなうかなぁ(汗)。

『精霊の守り人』、アニメは全部ネットで探して観みました(^^;;)。
今は『獣の奏者』がアニメ化されているよね。
NHK(教育)だからキャラが地味目で、
原作の良さに対して、アニメのウケはいまいちな気がします。

『獣の奏者』も読まねば〜!
Posted by けーぜ at 2009年08月27日 21:59
3作目の「夢の守り人」まで読んだ。
「闇」は、すごく面白かったけど、「夢」が今ひとつだったので、それで止めてしまいました。
「精霊の守人」のアニメも1巻はDVDで見ましたが、萌え要素がなかったので、これも止めてしまいました。

今は、「狼と香辛料」の12巻を読んでます。
次は西尾維新の「化物語(バケモノガタリ)」を注文済み。
けーぜさんお勧めなら、その次くらいに「虚空」「神」も読んでみようかな。
Posted by RASCAL at 2009年08月31日 12:26
>RASCALさん

うん、『夢』は駄作(言い過ぎ?)。
『虚空』と『神』は『闇』レベルかそれ以上だと思うのでぜひぜひ。
 
ところで、アニメ、萌え要素、あったじゃん!
バルサの入浴シーン。

『狼と香辛料』って12巻もあるの??
まだ手を出してないよ。。。
はまりそうだから、手を出さないようにって思っていたりして(汗)。
Posted by けーぜ at 2009年08月31日 20:59
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